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「うつ」はカミングアウトするべき?メリットとデメリットは?

私たち、精神疾患の一つであるうつ病を患っている者として、カミングアウトについて、考える機会が度々訪れます。

ここでまず、「カミングアウト」という言葉の定義を確認しておきましょう。

カミングアウトとは、「自分が、社会一般に誤解や偏見を受けいている(同性愛者などの)少数派の主義・立場であることを公表すること。アウト。カムーアウト。」(大辞林第三版の解説より)

また、「1.公表すること。人にしられたくないことを告白すること。2.同性愛者であることを公言すること。3.性同一性障害者が、自分がそうであると告白すること。」(デジタル大辞泉の解説より)

と定義されています。

ここ最近は、うつ病を公表する際にも、カミングアウトという言葉が使われるようになってきています。

この言葉には、メリットとデメリットが含まれています。

そのあたりも含め、うつ病のカミングアウトについて、一緒に考えてみましょう

 

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私の考える「カミングアウト」

プレゼンテーション時のイラスト002

現在では、うつ病は「こころの風邪」と比喩され、一昔前に比べたらその疾患名が広く周知された状況です。

ですが、それでも自分自身のうつ病をカミングアウトすることは、なかなか決断のつかない重い問題です。

その背景には、「広く」伝わっているように見えるけれど、正確な情報が一般の人にまで「深く」伝わっていない誤った情報や偏見がまだまだ浸透していることが根底にあると思われます。

そして、実際、カミングアウトするとデメリットの方が多いことも関係しているでしょう。

 

しかし、メリットがゼロでない、つまり、デメリットばかりではないから、カミングアウトすることに迷いが生じるのです。

カミングアウトすることのメリットで一番の大きいのは、

自分に対する理解者や味方が増えること

に尽きるのではないでしょうか。

職場・学校・家庭など、あなたが普段生活する場において、一人でも自分の病気(状態)について知っていてくれる人がいると言うことは、本当に心強いものです。

また、カミングアウトすることで、こちらが隠し事しているといった感じの後ろめたさのようなものから解放され、日常のさまざまな場面で、辻褄あわせが不要になるということもあります。

 

ただ、カミングアウトの方法ですが、

「うつ病」という疾患名を告げる、公表するというのは、あまり得策ではない

と思うのです。

 

というのは、この疾患名には、やはり既存のマイナスのイメージや偏見がどうしても先行していて、

「私、実は、うつ病なの…」

と打ち明けたとしても、相手はあなたの状況を正しく理解してくれるとは、到底思えないからです。

「うつ病」にもさまざまなタイプがあり、また、同じタイプの「うつ病」であっても、その症状やその人がもっとも悩まされているものは、人それぞれなのです。

 

それを「うつ病なの…」という一言で済ませて、カミングアウトした、公表したと思って、この人は私のことを知っている、理解していると思うのは早計な判断です。

世の一般の人のうつ病に対する知識というのは、まだまだ古いイメージをひきづった偏見に満ちたステレオタイプのものが多いのです。

中には、あなたがうつ病であるということを知っただけで、手のひらを返したような態度をとるようになる人もいると思います。

 

ですから、本当の意味でのカミングアウトとは、「うつ病」という疾患名を告げるのではなく、

「ちょっとこころの不調(精神疾患)があるんだけれど、○○というような症状があって、こういう時にこんな風になってしまって困っているの…」

という感じで、理解してもらうことではないかと思います。

つまり、イメージが先行してしまっている「疾患名」を公表するのではなく、自分の苦しんでいる悩まされている症状・状況を伝えることが、うつ病(精神疾患)の場合の「カミングアウト」でしょう。

 

そして、その症状を伝えて、

「なんていう病気なの?」

と聞かれたら、正直に「うつ病」と診断されていると言えば良いと思います。

精神疾患とは、1つの疾患名が示す症状は本当に人それぞれで、同じ「うつ病」と診断されている人でも、みんなが同じ症状、同じ程度を示す疾患ではないのです。

その年に流行りのインフルエンザは高熱を伴うもので、○○という薬を飲めば、誰でもが効いて、症状改善につながり、治癒するというようなものではないのです。

症状もさまざまであり、薬が幾種類もあり、処方される量も人それぞれであるのが「うつ病」ですよね。

同じ「うつ病」という診断であっても、人によって、「うつ病」という疾患名が示す症状は千差万別でなのです。

 

これは治療を受けている側の人間だから、ある意味、常識的に分かることですが、一般の人、うつ病を外から見ている人には、「うつ病」と言えば、

「こういう症状で、こういうこと考えていたり、こういうことをする人ね…」

みたいな偏見や思い込みがあるのです。

このように世間一般に浸透してしまっている誤った情報を、一気に、拭い去ることなど、そう易々と出来ることではありません。

ですから、本当の意味でカミングアウトするのであるならば、

「うつ病」という疾患名での公表ではなく、「具体的な症状や苦しみ、悩みなど」を伝えること

がポイントになり、そうすることが本当の意味で「カミングアウトした」ことになるのだと思います。

 

カミングアウトした結果は? 成功 or 失敗?

考えるシカ

まず初めに、こちらの心構えとしては、このようなカミングアウトをしても、理解してくれる人は少数だと思っていた方が良いということです。

しかし、ほんの少数の人であっても、理解者になってくれる人はいるのです。

カミングアウトしなければ、イヤな思いもゼロかもしれませんが、理解者を得る確率もゼロとなるわけです。

そのほんのわずかな確率であっても、それに賭けてみる。

そしてその結果が吉であったなら、とてもラッキーなことです。

 

きっと、一般の人には、精神疾患を理解するのは本当に難しことだと思うのです。

「詳しく分からないし、あなたの気持ちも理解したいけれど理解しきれない、こんな感じなのかなと言う程度にしか想像出来ない」

と言われたら、それが、カミングアウトされた人の正直な気持ちであり、最も良き理解者であると想像されます。

 

「うん、うん、あなたのことよく分かった。辛かったんだね!」

などと表面上の言葉で対応してくる人は、実は、表面的な理解しか出来ていない、言ってみれば、カミングアウトに失敗した例とも言えると思います。

 

「うつ病のこと、よく知っているよ」

とか

「うつ病って○○なんだよね!」

などという人も疑った方が良いでしょう。

精神疾患をステレオタイプのように捉えている人は、後々、本当に自分を理解していないことが分かってきます。

うつ病に限らず精神疾患一般は、本当に個別性の高い疾患です。

1人として、同じ状況や症状を持った人はいないと言っても過言ではないのです。

それを知っているかどうかです。

 

意外に落とし穴であるのが、

生半可な机上の知識を持っている半専門家のような人

です。

例えば、学生時代に精神医学や心理学をちょっと勉強したとか、興味があってカウンセラーの資格を持っているとか。

また、医療福祉関係者でも、精神疾患や精神障害の門外漢の方、あるいは経験の浅い方は、持ち合わせている情報を、いつまでも最新情報に書き換えようとしない傾向が強い気もします。

以上のような現実を踏まえた上で、カミングアウトをするかを考え、メリットを享受したいのであれば、カミングアウトすべきでしょう。

しかし、多くは期待しないことです。

 

そして、いくら口止めしても、1人にカミングアウトすれば、全くその人だけで、その情報が止まっているとは思わない方が良いでしょう。

尾ひれがついた情報が狭い範囲とはいえ広まることは覚悟すべきと思います。

ですが、ここで怯まないことです。

今のあなたを受け入れてくれる人が1人でも増えれば、それで良しとしましょう。

カミングアウトをしたことによって、人が離れていったということがなければ、ある意味、カミングアウトは意味あることであったと理解して良いと思います。

 

私は、かつて友人にカミングアウトをしました。

退職後、個人的にお付き合いしていた元同僚の方でした。

その方は、福祉系大学を卒業され、心理関係の仕事に就いておられ、人間の心理や行動については常日頃から多くの知識や常識を備えている人でした。

しかし、知り合ってからかなりの時間も経ち、タイミングを見計らって、私がカミングアウトしたところ、

「うつ子が、うつ病だなんて信じられない!」

と一言。

そして、

「病院変えた方がいいんじゃない?」

とまで言われてしまいました。

そして、その後は、プツリと音信不通。

カミングアウトを境に、関係は消滅しました。

 

私は、「うつ病」という病名を告げたのではありません。

自分のその時の症状・状況を伝えました。

しかし、若干の知識を持ち合わせていたその元同僚は、私の症状を「うつ病」と類推し、「それは間違った診断」とにわか医師のようになって診断までしてくれたです。

その方の持っていた知識や情報が仇になった例かと思います。

このように、カミングアウトは非常に難しいのです。

 

カミングアウトするかどうかを決めるポイント

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カミングアウトをするならば、

  1. なぜ、カミングアウトが必要なのか?
  2. 誰・どういう関係の人にカミングアウトするのか?
  3. 今、カミングアウトする必要があるのか?

という3点がポイントになると思います。

この3点を自分の中で整理してから、カミングアウトするか否かを決めるのが良いと思います。

そして、カミングアウトの結末としては、デメリットの方が大きい、どんなに事がうまく運んでも、デメリットはゼロではないということを承知の上で行うことが肝要です。

また、カミングアウトをしたことによって、自分から離れていった人、関係が壊れた人は、所詮、そういう人だったのだと思って、後追いしないことです。

本当にあなたのことを思っていてくれる人は、あなたがカミングアウトするかどうかに関係なく、あなたを理解しようと努めてくれています。

あなたの日々の様子を見て、逆に、××のような症状があるみたいだから、△△病なのかな?それとも××病なのかなとかって、頼みもしないの自ら勉強していてくれたりもするのです。

そして、あくまで謙虚です。

 

カミングアウトした後で、

「実は、色々本を読んで勉強してみて、世の中には、色々な人がいるんだなと思った。」

「きっと正しい理解は出来ていないのだろうけれど、病名や症状を聞いても、驚かなかったし、そうだったんだっていう感じだよ。」

と言う感じです。

また、病気の部分は、

「私と言う人間の一面に過ぎない」

と見てくれ、病気でない健康な部分も認めてくれ、病気も含めた丸ごとの私を受け入れて、接してくれています。

これは、友人でも、元同僚でも、元上司でも、恩師でも、親戚の者でも、誰にでも当てはまることだと思います。

理解してくれる人は、カミングアウトをしたかどうかに関係なく、私を理解しようとしてくれるものです。

 

必要に迫られてのカミングアウトをするとき

職場 うつ病

しかし、仕事関係に限らず、カミングアウトしなければならないときもありますよね。

必要なときは、覚悟を決めて、カミングアウトしましょう。

しかし、大きな期待は持たない方が良いでしょう。

もし、あなたの症状や苦しみを理解してもらえたら、それはとてもラッキーであった、人に恵まれたと思うべきでしょう。

その際も、上記の3点を自分の中で整理してみて下さい。

 

1.なぜ、カミングアウトが必要なのか

本当に必要に迫られたものであるのか、もう一度、自分に問い直してみて下さい。

仕事関係のために、理由付けとして、病気のことを言わなければならないこともあるでしょう。

しかし、「うつ病」であるというところまで言う必要性があるのかです。

「うつ状態」とか「不眠症」などでは不都合なのかなども考えてみて下さい。

診断書を添える場合は、主治医と診断名についても相談することも必要となるでしょう。

そして、主治医の意見も参考になさると良いでしょう。

 

あなたにとって、カミングアウトが完全なマイナス要素になるのでなければ、カミングアウトを検討する余地はあると思います。

しかし、後々のことも考えて、誤魔化すと言っては何ですが、「うつ病」とまで告げる必要がなければ、控えることも考えた方が無難な場合も多いと思います。

「うつ病」を理由に休職しようとしている場合などでも、診断名を告げることには、慎重になるべきです。

後々の人事に影響することですから。

 

私自身の話ですが、今は、病気のため、大した仕事が出来る状態ではありません。

しかし、時折、在宅で出来る仕事を請け負うことはあります。

その際に、納期や仕事の分量などによっては、応募出来るものとムリなものが出てきます。

そして、場合によっては、病気であることを予め話しておけば、仕事をさせてもらえる可能性も考えられるものも時折あるのです。

しかし、私が仕事を見つけるのは、今流行りのクラウドソーシング形式のネット上の求人。

面識もない、身元がハッキリしない発注者にどこまで伝えるか、病気のことを伝えてまでやりたい仕事なのかなど、非常に迷います。

結局は、病気のことを伝えずに、仕事を請け負うことの方が多いです。

 

もちろん、納期と仕事の分量を考えて、これくらいの期間なら自分の体が持つであろうという予測の元で引き受けるわけですが。

しかし、自分の体調が思うようにいかず、途中で仕事を断念しなければならないことも出てきます。

仕事を終えれば、問題なく話す必要もないことです。

場合によっては、出来なくなったときに、なぜ初めに言わなかったのだと責められる場合もあります。

また、逆に、最初に話してくれていれば、仕事量も考慮出来たのにと、配慮を示して下さる方もおられます。

本当に、人それぞれなのです。

ですから、リアルな社会での仕事ではないのですが、このようなネット上での関係であっても、カミングアウトということは常に頭の片隅にくすぶり続けている問題なのです。

とは言え、基本的なスタンスとしては、カミングアウトは必要最低限にする方が良いのではというのが、私の考え方です。

 

2.誰・どういう関係の人にカミングアウトするのか

カミングアウトする人との関係によっても、カミングアウトするか否かは大きく異なってきます。

まずは、身近な家族へのカミングアウトも、それなりに負担の大きなものですね。

同居の家族でしたら、様子が変だとか気付いているでしょうが、それが「うつ病」だと聞かされたときには、気が動転するでしょう。

また、ご家族の持ち合わせている知識や情報によっては、どんな反応をされるか分かりません。

比較的受け入れの良いご家族であっても、本当の意味で、あなたの状態を理解してもらえるまでには、かなりの時間を要することを覚悟しておいた方が良いでしょう。

 

しかし、同居のご家族の場合などは、通院に付き添ってもらい、主治医に病気の説明をしてもらうことで、理解は進みやすいものと思われます。

とはいっても、ご家族の性格や、元々の家庭環境なども大きく影響すると思いますが。

家族に理解されない辛さは、本当にやりきれないものです。

自分の居場所がないようなものですから…。

ですから、ご家族には、時間がかかっても、きちんと病気のことを正しく理解してもらうよう努めましょう。

 

次に、親しい友人に対する場合はどうでしょうか。

これも日頃、あなたが、その友人とどのような関係であったかが大きいと思います。

しかし、本当の友人であれば、理解をしてくれ、あなたの元を去って行くことはないでしょう。

もし、カミングアウトしたら、それっきりになってしまったのなら、その程度の関係であったときれいサッパリと、関係を終わりにしましょう。

そのようになってしまう友人であれば、「うつ病」のカミングアウトに限らず、重大な事案が起こったときも、頼りにはならない、本当に友人とは言えない方でしょう。

 

ここまでのご家族と友人に関しては、出来ることならば、自分の本当のことを知ってもらいたいという気持ちがあるが故のカミングアウトになると思います。

しかし、これ以外は、必要に迫られてのカミングアウトになると思いますので、多くは期待せず、出来ることならば、しないで済むものであればしない方が良いと思います。

 

3.今、カミングアウトする必要があるのか

カミングアウトは、タイミングも重要です。

必要に迫られたものであれば、タイミングを計る余地はないかも知れません。

しかし、それ以外の場合は、

「今でなければならないのか」

を今一度、問い直してみることです。

 

今すぐに、助けや理解者が必要である場合は、相手を選んで、今、することも必要になるでしょう。

ですが、「今」しなくても、もう少し時間が経ってから、「あの時は…」という話でも構わない場合も結構あると思うのです。

ただ、「今」と言うときを重視する理由が、寂しさを紛らわすためとか、孤独で耐えられないためなどといった理由ですと、それを理解出来、その気持ちを受け止める余裕のある方でないと、この忙しい、誰もがストレスフルな状況で生きている社会では、カミングアウトしても良い結果は得られないと思っていた方が良いでしょう。

 

まとめ

ここまで、長々とカミングアウトについて書いてきましたが、全体として、私の体験上では、

必要不可欠な場合を除いては、また、本当の親友や家族以外には、そう容易に、自分を理解してもらうために、カミングアウトをしようとしない方が無難

であると思います。

 

カミングアウトがうまくいき、メリットを享受出来ることもあるでしょう。

しかし、今の世の中、まだデメリットを被ることの方が多いというのが現実だと思います。

ですから、カミングアウトを考えるなら、

  • なぜする必要があるのか?
  • 誰にするのか?
  • 今する必要があるのか?

という3点を整理してから、行動に移すなら行動して下さい。

 

昨今、「うつ病」をあらゆることの免罪符に利用しようとする人も存在し始めています。

なので、余計、これまでとはまた違った意味のバイアスが、一般市民にかかってしまっています。

そのような点も考慮して、カミングアウトをうまく行って下さい。

自らも、

「私の辛さを理解してほしい!」

という一心で、単なる押しつけがましい気持ちだけで行動していないか?も重要であることを、最後に、付け加えさせて頂きます。


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2 Responses to “「うつ」はカミングアウトするべき?メリットとデメリットは?”

  1. ななし より:

    友人にうつ病を告白されました。それは、状況は理解しました。ただ、常識外れの行動を起こして、それについて賛成しない。または同意しないだけで、非難されます。挙げ句には謝罪を要求されて迷惑しています。うつ病を告白して、なんでも許されると解釈してる内は、専門家やサポートしてる人を通じて社会に接するマナーを精神疾患に携わる人にしてもらいです。この記事はとても理解できますが、うつ病患者の立場だけで、社会との接し方やカミングアウトされた人の気持ちまで考慮して情報を発信して欲しいと感じました。

    • 管理人 より:

      アドバイスありがとうございます。
      確かに、うつ病だからといって何でも許されるわけではないですよね。
      今後の記事ではななしさんのアドバイスを踏まえ、カミングアウトされた人の気持ちについて考慮できるように努めます。

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