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うつ病が完治したかどうかの判断基準は?

うつ病を発症してしまったけれど、十分な休養、その他の治療をした結果、

「だいぶ良くなってきたなぁ」

「もう治ったのでは?」

と思うくらいに回復されている方もおられるかと思います。

しかし、

「本当に良くなったのだろうか?」

「本当に治ったといえるのだろうか?」

と不安に思われたり、疑問をお感じの方も多くおられるのではと思います。

 

そこで、今回は、うつ病の完治(寛解)について、一緒に考えてみたいと思います。

 

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うつ病は完治する時が来るの?

考えるたぬき

時折、うつ病を含む精神疾患は「治らない」という話を耳にしませんか?

その実態はどうなのでしょうか?

 

実際に、精神疾患に対しては、「完治」という言葉は用いられず、「寛解(かんかい)」という言葉を使います。

この「寛解」という言葉の意味は、他の一般的な疾患において用いられる「完治」という言葉に近い意味で使われるのですが、微妙に「完治」とは異なるのです。

ネットで調べたところ、辞書によって、この語に対するいろいろな立場での意味説明がなされていますが、共通している定義としては、病気の症状や徴候の一部あるいは全てが、

  • 軽快、軽減した状態
  • 病勢が静止した状態
  • 一時的に回復した状態
  • 見かけ上、消滅して正常な機能にもどった状態

と言う点でしょうか。

つまり、あくまで、

「軽減や回復したかに見えるが、その先は分からない」

「再発の可能性は否定できない」

「見かけ上は、治ったかに見えるが、実際は分からない」

というような意味合いで使われることが多いと思います。

 

ですから、「寛解」という言葉が使われる「うつ病」に、

再発まで起こらないといえるような完全に治ったという状態はない

と言うことになるのでしょう。

 

例えば、うつ病治療で重視されている薬物療法には限界があることをよく耳にします。

実際に、ある製薬会社のサイトには、

「およそ10~20%程度のうつ病が抗うつ薬に反応しない、いわゆる難治性うつ病と考えられています。」

引用元:メンタルナビ うつ病 「治療する」 より

との記載があります。

この記述は、抗うつ薬のみを用いた薬物療法におけるその効果について書かれているものですが、他の薬剤を用いたり、治療法を試みても、やはり難治性の方というのはある程度の割合で存在するようです。

何を持って「難治性うつ病」と定義するのかなどについては、今回は、割愛したいと思います。

 

とにかく、さまざまな治療法を試みても、または、相当な期間を治療に要しても、その治療効果が現れてこないケースが多々あるのが現実です。

そして、何よりも、うつ病という疾患が、その発症のメカニズムも特定されていませんし、治療法も確立しているとも言い難いのが現状です。

ですから、

治ったか否かと言った点については、簡単に断定出来ない

というのが結論であるかと思います。

実際に、治療場面において、医師から、

「あなたのうつ病は完治しましたよ!」

などと言われることはまずないでしょう。

 

ですから、迷うのですよね。

「良くなった気はするけれど、本当に回復したと言えるのか・・・」

などと。

そこで、次項において、まず、学術的な研究などの場において、過去の状態と比較することで、回復・改善状態にあるのかを判定する際に用いられている

「ハミルトンうつ病評価尺度」

というものをご紹介します。

 

「ハミルトンうつ病評価尺度(HDRS)」とは?

うつ病 分かりやすく

これは、1960年に、マックス・ハミルトンが公開した「うつ病の重症度を評価」するために作れた尺度です。

この評価尺度は、診断用の検査として用いるべきではないと、ハミルトン自身も主張していたと言われるように、うつ病であるか否かを判断するためのものではなく、うつの重症度(レベル)を評価することを目的とした尺度なのです。

 

また、この尺度は、ネット上でもよく見られるうつ病を自己チェックするようなものではありません。

というのは、このテストは、うつ病の本人が質問に対して答えるのではなく、検査者が患者さんの様子を見て、当てはまると思われる回答を選ぶという形式になっています。

つまり、この尺度は、医学的な臨床研究の場において、経時的にこの評価を行うことで、うつが改善しているのか、どの程度回復したと言えるのかを、「治療者側」が客観的に捉えるテストとして、利用されているものです。

言い換えれば、この尺度は、本来、うつ病であるご本人が、自身の回復度を知るためのものではないということです。

 

ですが、この評価尺度の質問項目を眺めることで、専門家(治療者である医師)はどのような点から、患者さんの回復度をはかっているのかを知ることが可能であり、患者側が知っておいても損のない有用な情報であると思うのです。

そこで、以下に、このハミルトンうつ病評価尺度で用いられているチェック項目をご紹介します。

  1. 抑うつ気分(悲しい気持ち、絶望感などの程度)
  2. 罪責感(間違ったことをした悪いことをしたと思う程度)
  3. 自殺傾向(自殺についての思い)
  4. 入眠障害(寝付きの問題の程度)
  5. 熟眠障害(途中で起きてしまう問題の程度)
  6. 早朝睡眠障害(早く目が覚めてしまう程度)
  7. 仕事と活動(仕事や趣味に対して)
  8. 精神運動抑制(頭の回転や会話の速度など)
  9. 焦燥(落ち着きのなさの程度など)
  10. 精神的不安(イライラ、怒りっぽさ、不安感など)
  11. 身体的不安(動悸、過呼吸、頻尿など)
  12. 消化器系身体症状
  13. 一般的な身体症状
  14. 生殖器症状(性欲、生理の問題)
  15. 心気症(体の病気がないのに病気の心配をする)
  16. 体重減少
  17. 病識(自分の病気に対する認識)

 

という17項目から、うつ病の評価がされています。

この各項目に3~5個の選択肢が設けられていて、選んだ選択肢によって点数が決まっており、その17項目の回答の合計点で、重症度が評価されます。

各項目の選択肢まで含む、この評価尺度をお知りになりたい方は、以下のサイトをご覧下さい。

また、17項目に回答することで、自動的に評価結果が出てくるサイトも合わせてご紹介します。

参考・紹介サイト:

せせらぎメンタルクリニック|精神科・心療内科

「うつ病に使われる心理検査。ハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D)とは?」より

うつ病ドリル「チェック4:治ったかどうかのチェック」より

上記のサイト内にも記載がありますが、この尺度を用いて評価した結果は、次のように解釈されています。

0~ 7点 :正常
8~13点 :軽症
14~18点:中等症
19~22点:重症
23点以上 :最重症

 

これをうつ病の当事者(患者)が、その重症度などを断定するために用いることは、ある意味、誤った用い方になるかと思われます。

あくまで、治療者や研究者が、どのようなポイントから、回復度合を判断しているのかを知るために今回ここで提示したという程度にご理解の上、参考にして頂ければと思います。

そして、病気をお持ちの当事者が、ご自身で、ご自身の重症度の評価を行うためのものではありませんので、仮に、当事者がこのテストで評価を行ったとしても、それが正確な結果といえるのかについては、何とも申し上げられません。

ですが、患者さん自身が、経時的にこの尺度で評価を行ってみて、それを比較することで、自分が回復基調にあるのか、まだ停滞しているのかなどを知る1つの手がかり程度にはなるのではと思います。

何度も申しますが、この評価尺度を患者さん自身でお試しになる場合は、この評価尺度の本来の運用目的を正確に把握した上で、ご活用いただくようお願い致します

 

うつ病の回復期に入るとみられる心身の変化

カエルポイント

前項で、治療者や研究者が用いる回復度合を評価する尺度「ハミルトンうつ病評価尺度」をご紹介しました。

この評価尺度の各質問項目に対するご自身の答えがどうであるかというより、うつの回復度合をはかるポイントは、このような質問項目なのだなという程度に参考としていただければと思います。

 

次に、このハミルトンの尺度の項目と一部重複するものもありますが、私自身の感じる回復度合をはかるポイントをご紹介したいと思います。

残念ながら、私自身が寛解に至ったことがなく、良くなったり悪くなったりの繰り返しですから、本当に回復した際に見られる現象ではないと思います。

しかし、何度も増悪・軽快を繰り返している立場として、

「ああ、うつの底はぬけたなぁ・・」

「回復基調に乗ったなぁ・・」

と感じるポイントを挙げてみたいと思います。

 

【体調面での変化】

  1. 食事が摂れるようになる
  2. 僅かでも眠れるようになる
  3. 体の動きがスムーズになる、スローさが薄れる
  4. 声のトーン、大きさが改善してくる
  5. 僅かな音や光などに過敏に反応しなくなる

 

【精神的な面(気持ち)の変化】

  1. 途切れることのなかった強烈な抑うつ気分が弱まる
  2. 焦る気持ちが薄れ、今の状態も仕方ないのかもなどと思える
  3. 病気以外のことに多少目が向くようになる
  4. 何かを考えることができたり、横になっている以外に出来ることが出てくる
  5. 少人数ならば、自分の周りに人がいても耐えられるようになる
  6. 周囲の人を極端に避けなくなってくる

 

ざっと思い返してみると、こんなことが挙げられるかと思います。

とにかく、うつの底にいる時は、何も出来ません。

それが、回復基調に乗ってくると、何かしら出来るようになってくるのです。

 

例えば、

  • ラジオがついていても大丈夫
  • 音楽をかけてみる
  • 部屋から何となく出てみる

などほんの些細なことですが、活動がゼロであった状態から脱出するのです。

 

これが私の回復途上の初期に起こってくることです。

これが寛解のポイントとは全く言えませんが、回復基調に乗らない限り、症状の軽快も、その先に続く寛解もないのです。

まず、先に挙げたポイントは、回復の最初の一歩に過ぎない変化かも知れませんが、これらの変化が起こると、若干、改善・軽快へと向かい始めるのです。

 

とは言え、「うつ病の回復には波がある」ということを耳にしたことはありませんか。

そうなのです。

一端、回復に向かったかに見えても、再び、あっという間に、悪化する。

これが私の辿るいつものパターンなのです。

私の場合は、寛解というレベルまでの上昇はないので、症状が悪化したと言ってもそれを再燃とは言わないのだ思います。

絶えず、軽快・増悪を繰り返している。

こういう波が、うつ病にはつきものなのです。

こういうことを、予め理解しておくことは大切なことと思います。

参考サイト:
せせらぎメンタルクリニック|精神科・心療内科
「うつ病の症状の経過は波があり、良くなったり悪くなったりを繰り返しながら治っていく」より

 

まとめ

ここでは、「うつ病が完治(寛解)したかどうかの基準を示す」ことを目的に、この記事を書いてきましたが、うつ病自体が、まだまだ未解明の部分の多い精神疾患です。

どのような状態を完治(寛解)したというのかも、おそらく、誰もが納得するような形で明確化されてはいないと思います。

しかし、もしある程度基準が明確になっていたとしても、基準をクリアしていたら、患者さん自身に苦痛や何らかの不都合な点などが残っていても完治とするのでしょうか?

 

これは、うつ病の診断の際と同様のことだと思います。

診断基準であるDSM-5やICD-10などの基準を満たせば、即、うつ病と診断されるような世の中になってしまっていますが、完治についても、基準が設けられ、それをクリアしていれば、

「はい、治っていますよ!」

というものではないと思うのです。

心の病、精神疾患とはそのように明解なものではないと思います。

診断の基準も曖昧ですし、治ったかどうかの基準もまた不明確なのです。

 

要するに、患者さんの症状が診断基準や回復基準を満たすか否かではなく、日常生活に支障をきたし不自由を感じるほどの不調があれば、治療の対象となりますし、治療をした結果、その支障が改善され、治療者と患者側の双方が良くなったと感じれば、治ったとするのではと思うのです。

それくらい、主観に頼っているのが現状ではないかと思います。

 

ですから、多くを主観に頼って判断している完治(寛解)とは、治療者側と患者側の双方が、同時に、良くなったとの共通認識を持った上で、漸く、出てくる話だと思います。

回復を判定する基準をクリアしたか否かではないのです。

しかも、冒頭の方で書きましたように、うつ病のある程度の方々は、治療が功を奏しない難治性と診断されます。

なかなか治らないのです。

ですから、うつ病を含む精神疾患は「寛解」という言葉を使われるように、「完治」ということにこだわりすぎると、本当に、自分を苦しめ続けるだけだと思います。

 

今は、「社会的治癒」という言葉もあります。

例え、病気が治っていなくても、病気と共にうまくやっていけるなら、病気をうまくコントロール出来るのであれば、それは病気そのものが本当に治癒していなくても、社会生活が営めていると言う意味で「社会的治癒」というのです。

今の世の中、何一つ、病気を持っていないという方は少ないでしょう。

 

うつ病を含む精神疾患に限らず、高血圧や糖尿病などの生活習慣病、そして、ガンなど、何らかの病気を持っていて、それと闘いながら(共存しながら)、生活している方が多くおられます。

ですから、うつ病に関しても、症状が完全に消えなくても、あるいは、波のある状態であっても、それをうまくコントロール出来れば、また、うつ病とうまく折り合いをつけて付き合っていけていれば、それで上出来と考えてはいかがでしょうか。

あまり、完治(寛解)ということに執着することは、あまり意味がないと思うのです。

 

症状がきれいに消えて、元通りになることを期待するのではなく、症状が残っていたとしても、何とか最低限の社会生活が送れるようになることを目標としてみてはいかがでしょうか。

治ることを諦めろというのではありません。

どんな病気であっても、また、病気に限らずですが、日々、全てのことは同じではなく変化しているのです。

 

つまり、

うつ病になる前の状態に戻ることを目標にしても、あまり意味がない

と思うのです。

日々、全てのことが流転している世の中にあって、全く病前と同じ状態に戻れることもないわけですが、そうすることは、再び、うつ病になりやすい状態に身を置くことを意味するとも言えるでしょう。

嬉しくないことですが、うつ病になってしまった事実は、変えようがありません。

ですが、そこから何かを学び、再び、同じことを繰り返さないことです。

 

ですから、「病前と同じ状態に」という意味での完治は目指さない方が賢明かと思います。

再び、うつ病になりやすい立ち位置に戻るのではなく、同じことを繰り返さないような、新たな立ち位置を見つけることがポイントかと思います。

そのためにも、病前と同じところに戻ろうという意味での「完治」と言うことに拘りすぎず、うつ病になったからこそ見出せるあなた自身に見合った身を処す場所を見つけ、そこへ到達することが、あなた自身の完治と言うことにしてはいかがでしょうか。

 

精神疾患は、人によって、その症状もさまざまです。

ですから、終着点となる完治の意味や完治と見なせる基準も、人それぞれであるかと思います。

しかも、それはかなり主観的なことになると思います。

あなた自身の納得いく回復状態・回復基準を定めたら良いと思います。

一般的に考えられている「完治」の基準を追求することから離れてみませんか?

「完治」というものの見方を少し変えてみることで、あなた自身の「寛解」につながるかもしれませんよ。


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